風上差分の中心差分+数値拡散表示の導出をやります。ポイントは風向きの正負によらない表示です。まず、 を節点 における濃度ないしは熱、 を節点 における流速、 を空間座標としたとき、風上差分は
のように書けます。風上側(情報が伝わってくる側)の値を使うことで安定的に計算を行うことができます。ここで
というちょっとテクニカルな関係を使います。落ち着いて絶対値をはずしてみればたいしたことはありません。上の関係をよく見ると、 のとき に、 のとき になっていることに気づきます(よく見て下さい)。なので、これらを風上差分の式の に代入してみましょう。すると
となります。さらに、 と を足してしまいます!するとそれは風上差分と等しくなっているのです!すなわち
です。何故そんなことができるか?それは場合分けして考えるとわかります。まず のときは
かつ
なので和の二項目が消えて風上差分と等しくなります。また のときは
かつ
なので和の一項目が消えて風上差分と等しくなります。
さらに式を と で整理すると結局
となります。この式の一項目は、一階微分に対する中心差分に、二項目は二階微分に対する中心差分となっているので、風上差分の中心差分+数値拡散表示を得ることができました。これは風向きの正負によらない表示でもあります。