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【有限要素法】無限領域における拡散方程式の解析解

今回は無限領域における拡散方程式の解析解をフーリエ変換を使って導きたいと思います。松下泰雄『フーリエ解析』のpp.126-127を参照します。

フーリエ解析―基礎と応用

フーリエ解析―基礎と応用

解く拡散方程式は

 \displaystyle \frac{\partial u}{\partial \tau} = D\frac{\partial^2 u}{\partial y^2} in  (-\infty, \infty)

です。初期条件はある関数  f(y) で与えられるとします。無限領域なので境界条件は必要なく、初期条件だけです。

変数  y に対するフーリエ変換を考えます。


 
\displaystyle 
\begin{eqnarray} 

\mathcal{F} [u(\tau,y)] &=& U(\omega,\tau) \\
\mathcal{F} [f(y)] &=& F(\omega) 

\end{eqnarray}

拡散方程式の両辺をフーリエ変換すると

 \displaystyle \mathcal{F} \left[\frac{\partial u}{\partial \tau}\right] = \mathcal{F} \left[D\frac{\partial^2 u}{\partial y^2}\right]

となります。まず左辺から考えましょう。 y に対するフーリエ変換を考えているので時間に対する偏微分を以下のように外に出せます。

 \displaystyle \mathcal{F} \left[\frac{\partial u}{\partial \tau}\right] = \frac{\partial}{\partial \tau} \mathcal{F} [u] = \frac{d}{d \tau} U(\omega,\tau)

最後のイコールで偏微分が常微分に変わるのは、 U \tau にだけ依存すると考えているからです。次に右辺を考えましょう。フーリエ変換の公式

 \displaystyle \mathcal{F} \left[ f^{(n)}(x) \right] = (i\omega)^n F(\omega)

を使います(p.71)。この公式はn階微分した関数のフーリエ変換はもとの関数のフーリエ変換 (i\omega) をかけたものに等しい、と言っています。よって

 \displaystyle \mathcal{F} \left[D\frac{\partial^2 u}{\partial y^2}\right] = -D\omega^2 \mathcal{F} [u] = -D\omega^2 U(\omega,\tau)

となるので結局  \tau に対する常微分方程式

 \displaystyle \frac{d}{d \tau} U(\omega,\tau) = -D\omega^2 U(\omega,\tau)

を得ます。これは変数分離で簡単に解けて(線型一階常微分方程式です)

 \displaystyle U(\omega,\tau) = A(\omega) e^{-D\omega^2 \tau}

となります。ここで  A \tau に対する積分定数です。これは初期条件  F(\omega) を使って消します。 t=0 のときを考えると

 \displaystyle U(\omega, 0) = A(\omega) = F(\omega)

となるので

 \displaystyle U(\omega,\tau) = F(\omega) e^{-D\omega^2 \tau}

が解です。

次はこれをフーリエ逆変換してもとの世界に戻します。まず、ガウス関数  e^{-ax^2} a>0フーリエ変換を考えます(p.66)。

 \displaystyle \mathcal{F} \left[ e^{-ay^2} \right] = \sqrt{\frac{\pi}{a}} e^{-\frac{\omega^2}{4a}}

ここで  a=\frac{1}{4D\tau} とおくと上式は

 \displaystyle \mathcal{F} \left[ e^{-\frac{y^2}{4D\tau}} \right] = \sqrt{4D\tau\pi} e^{-D\omega^2 \tau}

となります。これを使うと  U の式は

 \displaystyle U(\omega,\tau) = \mathcal{F} [f(y)] \mathcal{F} \left[ \frac{1}{\sqrt{4D\tau\pi}} e^{-\frac{y^2}{4D\tau}} \right]

と2つのフーリエ変換の積でかけます。ここで畳み込みの公式(p.77)

 \displaystyle \mathcal{F} [f \ast g ] = \mathcal{F} [f] \mathcal{F} [g]

を使います。ただし

 \displaystyle \mathcal{F} [f \ast g (y)] = \int_{-\infty}^{\infty} f(s)g(x-s) ds

です。これを使うと  U の式は

 \displaystyle U(\omega,\tau) = \mathcal{F} \left[f(y) \ast \frac{1}{\sqrt{4D\tau\pi}} e^{-\frac{y^2}{4D\tau}} \right]

とかけます。この式をフーリエ逆変換すると

 \displaystyle u(\tau,y) = f(y) \ast \frac{1}{\sqrt{4D\tau\pi}} e^{-\frac{y^2}{4D\tau}}

です。積分でかくと

 \displaystyle u(\tau,y) = \frac{1}{\sqrt{4D\tau\pi}} \int_{-\infty}^{\infty} f(s)  e^{-\frac{(y-s)^2}{4D\tau}} ds

となり拡散方程式の解を得られました。解析解と初めに言いましたが、この積分を解析的に求められる場合以外は解析解にはならないのでご注意下さい。


ちなみにこの解は1次元非定常移流拡散方程式や1次元Burgers方程式の解析解を導く際に用いられます。