【Navier-Stokes方程式】フラクショナルステップ法によるNavier-Stokes方程式の離散化
フラクショナルステップ法(部分段階法)によるNavier-Stokes方程式の離散化について説明していきます。この手法は流速と圧力を直接未知数として計算する手法です。SMAC法では中間流速(予測子)を計算する際に圧力を使いましたが、フラクショナルステップ法では圧力を使わず「仮の流速」を計算します。最終的にはMAC法のように圧力に関するPoisson方程式が導かれます。
以下の内容は『流体解析の基礎』のpp.75-76を参考にしています。
- 作者: 河村哲也
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2014/03/26
- メディア: 単行本
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簡単のため二次元直交座標系で考えます。まず保存型のNavier-Stokes方程式は
です。連続式は
です。Navier-Stokes方程式と連続式を以下のように時間に対して離散化します。
ここまではSMACと同じです。次に、以下のように圧力を省いてnステップの値を用いて仮の流速 、 を計算します。
「仮の流速」と呼ばれているのは、この流速はNavier-Stokes方程式を満たさないからです。対応する運動方程式をそれぞれ引き算すると
を得ます。これが次のタイムステップの流速を決める式です。ここから と を連続式に代入します(n+1ステップにおいて連続式を満たすとする)。
これがフラクショナルステップ法における圧力のPoisson方程式です。
計算手順は以下のように1~3の繰り返しとなります。
1. nステップでの流速 を用いて仮の流速 を得る
2. 仮の流速 を用いて圧力のPoisson方程式を解き、次のタイムステップの圧力 を求める
3. 次のタイムステップの圧力 を用いて、流速を補正(流速の式を使う)し、次のタイムステップの流速 を得る
空間方向の離散化には、保存型をそのまま用いれば有限体積法を、非保存型を用いれば有限要素法や差分法を用いることができます。